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健康・医療

新型コロナウイルスに“うつらない・うつさない”ための行動変容

 塙町出身の医師 荒川 泰行 氏(日本大学名誉教授/公立阿伎留医療センター名誉院長)から『新型コロナウイルスに“うつらない・うつさない”ための心得』についてご提言をいただきました。
 ぜひご一読いただき、感染予防対策を徹底くださいますようお願い申し上げます。

 

新型コロナウイルスに“うつらない・うつさない”ための行動変容

 

日本大学名誉教授/公立阿伎留医療センター名誉院長 

荒川 泰行(塙町材木町出身、東京在住)

 

 2019年12月に中国・武漢市で始まった新型コロナウイルス感染症が瞬く間にパンデミックとなって以来3年目を迎え、今日なお未曾有の新興感染症として世界中を席巻して流行拡大が続いています。

 わが国でも、現在新型コロナウイルスの爆発的感染拡大を繰り返して市中感染第7波の大波が押し寄せてきて、まさしく「感染災害」の状況が続いております。私は新型コロナワクチンの4回目接種を7月に済ませました。皆さんはどうですか?。副反応を心配する向きもありますが、すべての世代の人が可能な限り早い持期に3回目、さらに4回目のワクチンを接種しておいた方が良いですね。特に高齢者や基礎疾患をお持ちの方はもちろんですが、ワクチン接種率が低いことが指摘されている若い人達も積極的にワクチンを接種しておきますと、もし仮にウイルスに感染して発症した場合でも、軽症に終わり、重症化をかなり予防できるというメリットが大きいです。また、多くの人が抗体(免疫)を獲得して社会全体の抵抗力(集団免疫)が高まりますと感染の広がりは小さくなり、社会全体を防衛することになります。同時に、何らかの理由でワクチンを打てない人を守るために、周囲の同居する家族やコミュニティの人たちがワクチンを打つことで彼らへの感染を防ぐことができます。これを、蚕を守る繭(まゆ)の殻にたとえて、いわゆるコクーニング(Cocooning)と呼ばれます。

 ただ、ワクチンを接種しても4~5ヶ月が経過しますと血中中和抗体価が減少する一方、感染者数が増えれば増えるほどウイルスの変異のリスクは上がります。現在、新型コロナウイルスが従来株からデルタ株、さらにオミクロン株とその亜種(BA.2、BA.5、BA.2.75など)へ置き換わってきていますが、ワクチンによる感染予防の免疫力は時間とともに漸減しますので、高い抗体価を維持して感染予防の免疫力を維持するためには4~6ヶ月ごとの追加接種がどうしても必要になります。

 また、新型コロナウイルスは、人、場所、時間を選ばずに、誰にでも感染(ステルス感染)を起こしますので、“予防に勝る治療はなし”が原則です。

 最近流行している新型コロナウイルスのオミクロン株とその変異種は、従来株より感染力が2~3倍強いとのことですので、感染しないように、個人衛生をしっかりと実践して感染予防をしましょう。特に、様々なスポーツ、イベント、博覧会、観光地など、多人数の集まる場所では大人数が密に接するために、感染が広がりやすい環境になると言えますので、感染するリスクが一層高まります(マスギャザリング感染)。

 新型コロナウイルスの感染経路は、飛沫感染や接触感染が主ですが、エアロゾル(飛沫核)を介しての感染も重要です。目に見えないウイルスを含む唾液(飛沫・エアロゾル)を出すのは個人ですから、ウイルスの感染は日常のありふれた行動・動作などを介して個人から個人への感染経路で成立することになります。

 したがって、感染予防対策は個人レベルで一人ひとりが“自分事”としてしっかり当事者能力を発揮して、責任ある感染予防対策を実践すれば感染拡大を最少化できるはずです。感染予防においては、国民(個人)一人ひとりが、常に社会の便益性を考えて、“うつらない、うつさない”ための個人の衛生行動の実践(行動変容)が最も重要でありますので、国や自治体は感染予防の啓発や広報活動をもっと活発にやるべきではありますが、世の中の感染状況のレベルやその推移に応じて自らを制御する“セルフロックダウン”をする覚悟と行動力が求められます。

 

個人の感染予防対策上重要な行動変容

 

・手洗い(正しい手指衛生)

・うがい、マスク着用

・1.5~2mの人と人の身体的距離(ソーシャルデスタンス)の維持

・3密(密閉、密集、密接)の回避

・室内・屋内の換気、同居する家族以外の人との多人数での飲酒・会食等の回避

・人混み(人流)の回避、電車内など公衆の場で大声での会話を避ける

などを考えます時、このような個人の感染源対策と感染経路対策がいかに重要であるかが理解できると思います。なぜ、個人レベルでの感染予防対策や集団免疫獲得の一助となるワクチン接種が求められるかと言えば、自分を守るためであることはもちろんでありますが、家族を守り、愛する人を守り、そして社会を守るためでもあります。これらは数珠続きでありますので、各個人一人ひとりが社会の一員であることの認識・自覚(個人に求められる社会的責任)のもと正しい知識を持って感染予防のための衛生行動を実践することに大きな意義があります。人は、本来人のために役立つことに存在意義を求めるはずでありますので、地域社会にあって何らかの形で自助・互助・共助をすることで存在意義を達成できるのだと思います。未曾有の新型コロナウイルスの感染爆発が起きている現下の状況下において、感染予防に無関心や無視は決してほめられることではありません。お互いに、ここでしばし立ち止まって、個人の感染予防対策上重要な行動変容のあり方を再考することは有意義なことと思慮します。

 

2022年8月10日

 

荒川 泰行 プロフィール

 

サンプル画像日本大学名誉教授  
公立阿伎留医療センター名誉院長
出身:福島県塙町材木町55番地
生年月日:1941年4月10日

 

1967年 3月 日本大学医学部卒業

1968年 3月 日本大学駿河台病院において医師実地修練終了

1968年 5月 第44回医師国家試験合格

1972年 3月 日本大学大学院医学研究科博士課程修了

1973年 7月 米国ハーバード大学研究員として留学

1984年 12月 日本大学助教授(日本大学第3内科学講座)

1992年 11月 日本大学第3内科学講座主任教授

2002年 11月 日本大学医学部付属板橋病院長(~2005年10月)

2007年 3月 日本大学定年退職

2007年 4月 公立阿伎留医療センター院長就任(~2013年7月)

2009年 1月 日本大学名誉教授の称号授与

2013年 8月 阿伎留病院企業団企業長就任(~2017年7月)

2015年 10月 東京都功労者表彰受賞(福祉・医療・衛生部門)

2017年 8月 阿伎留病院企業団企業長/公立阿伎留医療センター院長(兼務)

2022年 3月 阿伎留病院企業団企業長/公立阿伎留医療センター院長退任

2022年 4月 公立阿伎留医療センター名誉院長、現在に至る

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